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ごぼう茶に便秘改善作用の可能性

業務用食材・加工食品製造販売の、株式会社あじかん(本社:広島県広島市、代表取締役社長:中谷登)は、独自開発の焙煎加工法(特許出願中)で香ばしく抗酸化力を大幅に高めた健康茶「あじかん焙煎ごぼう茶」に関連し、同じ成分のごぼう茶粉末を使い、慢性便秘患者に対する便通改善作用を検証するために、島根大学医学部附属病院消化器内科の木下芳一教授、清村志乃医科医員と共同で臨床試験を実施しました。

その結果、全体として統計学的な有意差には達しませんでしたが、対象者の一部で便秘の著明な改善が認められました。

今回の研究成果について、2011年6月18日に開催された第95回日本消化器病学会中四国支部第13回教育講演会で、島根大学・清村志乃氏が代表して発表しました。

<島根大学医学部附属病院消化器内科の木下芳一教授、清村志乃医科医員と共同研究>
日本人が、古くから親しんできた野菜の一つ「ごぼう」は、中国から民間薬として伝わり、多くの薬効が言い伝えられてきました。ごぼうの根には、腸内環境の改善に役立つとされる食物繊維や、高い抗酸化能を持つとされるポリフェノールを豊富に含むことから、健康食材として認知されつつあり、こうした有効成分を簡単においしく摂れる“ごぼう茶”への関心も高まっています。ごぼう茶の整腸作用については、これまでヒトを対象とした科学的根拠のある報告はありません。しかし、ごぼうの乾燥粉末の総食物繊維量は54%もあり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を両方含むほか、フラクトオリゴ糖などの整腸作用がある成分も確認されており、一般消費者のイメージからも便秘改善作用が期待されています。

長年、食品メーカーとして、和食の代表的な惣菜、きんぴらごぼうを製造販売してきた同社は、近年ごぼうの健康機能について研究を続けており、2010年12月には独自開発の焙煎加工法(特許出願中)で抗酸化力を大幅に高めた「あじかん焙煎ごぼう茶」を発売。今回新たに、島根大学医学部附属病院消化器内科の木下芳一教授、清村志乃医科医員とともに、ごぼう茶の整腸作用を検証するための共同研究を行い、一般成人女性10名の慢性便秘患者(排便が週2回以下の女性)を対象に臨床試験を実施しました。

<新たに開発した天然食物繊維「ごぼう茶パウダー」を臨床試験に使用>
現在、わが国には2010年8月の時点で944種類の特定保健用食品が厚生労働省から許可を受けています。そのうち許可を受けた表示内容に食物繊維と便通に関する事項の両方が含まれている食品は224種類あります。これらの食品には人工合成された食物繊維のポリデキストロースと難消化性デキストリンを含めた11種類の食物繊維が使用されています。

この中で、最も使用数の多い食物繊維は人工合成された難消化性デキストリンです。また、これらのうち、ごぼう茶のように水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよく含むものは寒天由来の食物繊維のみですが、ごぼう茶で摂取する食物繊維と同量の食物繊維を寒天から摂取する場合、重量としてごぼう茶粉末の30~50倍量の寒天ゼリーを食べる必要があります。

そこで同社では、水溶性と不溶性の両方の食物繊維をバランスよく併せ持つ新しい天然のファイバー素材として粉末状の「ごぼう茶パウダー」を新たに開発し、今回の臨床試験に使用しました。

<ごぼう茶粉末摂取者は排便の無い日が少ない傾向、7症例中4症例でごぼう茶粉末摂取期間の便の方が軟らかい日が多く見られる>
対象は1週間に2回以下の排便しかない成人女性10名としました。このうち3名は調査途中で下剤を頓用したなどの理由により除外し、残る7名の結果について検討しました。参加者7名の年齢は23歳から75歳で平均49.4歳です。方法は、ごぼう茶粉末摂取群とプラセボ群のクロスオーバー試験としました。摂取群はごぼう茶粉末10gを含むフリーズドライ味噌汁を1日2回、食事と一緒に摂取し、プラセボ群は粉末を含まない味噌汁を同じ量摂取しました。各群で2週間継続した後、効果を検証しました。また、1週間から4週間のWash out期間を置き、味噌汁のサンプルを入れ替えて、同様に2週間後に効果の検証を行いました。

評価は排便回数、便の性状、腸内の食物輸送の3点について行いました。評価方法は、対象者が各味噌汁摂取期間の便通や便の性状等に関して記録した日誌で評価し、さらに、腸管内の食物輸送については、レントゲン不透過のマーカーを20個含んだカプセルをそれぞれ味噌汁摂取最終日の5日前に内服し、最終日に腹部レントゲン写真を撮影することで検討しました。

結果、7症例中5症例でごぼう茶粉末入りの味噌汁を飲んだ期間の方が排便の無い日が少なく、また、平均値もごぼう茶粉末入り味噌汁の方が排便の無い日が減少しており、排便数が増えていることを示していました。さらに、7症例中4症例で、ごぼう茶粉末摂取期間の便の方が軟らかい日が多くみられました。

最後にレントゲン不透過のマーカー20個を用いて、腸管内の食物輸送に対するごぼう茶粉末の影響を検討しました。残存マーカー数が少ないほうが、腸管内の食物輸送がスムーズであるといえます。ごぼう茶粉末の無い普通の味噌汁に比べて、ごぼう茶粉末入り味噌汁を飲んだときの方が、7症例中4症例で腸内残存マーカー数の減少を認めました。

実際に、腸内残存マーカー数が著明に減少した一例の腹部レントゲン写真を示します。わかりやすくマーカーに赤丸をつけました。ごぼう茶粉末入りの味噌汁を飲んだ時のマーカー数が著明に減少しているのがわかります。ただし、これらのいずれの検討でも、ごぼう茶粉末入り味噌汁は普通の味噌汁に比べて統計学的な有用性は認められませんでした。

ごぼう茶が食品であり、副作用がないことを考えると、慢性便秘の患者に対してごぼう茶を試してみることは価値があると同社は考えています。今後、ごぼう茶の大腸憩室炎に対する予防効果に対しても臨床試験を開始し、さらなる有用性について研究を進めていく予定です。

2011年06月23日 12:42

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