大正製薬株式会社は、吉村 浩太郎教授(自治医科大学形成外科)と共同で、ヒト毛包を用いた、栄養(インスリン)、紫外線、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン※1)、酸素濃度や温度などの条件が毛の伸長に与える影響について、世界で初めて総合的に検証し、その結果を、2021年11月6日~7日に開催された第26回日本臨床毛髪学会学術集会(Web開催)にて発表しました。
同社は、2017年より吉村教授と共同研究を開始しています。今回、毛包が様々な外部環境や生理的ストレスに敏感に反応することに着目し、様々な条件下で毛の伸長に与える影響について検討しました。その結果、低栄養や紫外線照射、男性ホルモンが毛の伸長を抑制するだけでなく、低酸素や低温であるほど毛の伸長が抑制されることが明らかになりました。
(以下、研究の詳細)
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■ 研究成果
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同社は、これまでにヒト側頭部皮膚より毛包を摘出し培養することにより、毛の伸長が増大することを確認しました※2。今回、新たに、毛包培養系における酸素濃度、温度条件、培地への栄養添加、紫外線照射、男性ホルモン添加が毛の伸長に与える影響について評価しました(図1)。
図1.ヒト毛包器官培養による毛の伸長の評価
図2.毛の伸長における各培養条件の影響
酸素、温度、栄養(インスリン)、紫外線、男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)
Controlの培養条件:37℃,20%O2,10μg/mL Insulin
※1 ジヒドロテストステロン:
男性ホルモン「テストステロン」が毛髪の根元にある毛乳頭に入ると、毛乳頭内の酵素の働きによっ て、「ジヒドロテストステロン」という強力な男性ホルモンに変換されます。ジヒドロテストステロンには毛髪の正常な成長を妨げる作用があり、軟毛化や脱毛を引き起こします。
※2 ヒト側頭部皮膚組織提供:
ドクタースパクリニック(鈴木 芳郎 院長)
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■ 同知見の活用及び今後の展望
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同社では、ヒト毛包組織を培養する新たな発毛評価法は、ヒトでの発毛候補化合物の効果を予測する上で有用な評価法と考えています。同研究にて、ヒト毛包器官培養の評価における培地中のホルモン濃度や栄養、紫外線照射だけでなく、酸素濃度や温度が毛の伸長に影響を及ぼすことが明らかになりました。
これらの毛髪研究に関する最先端の研究知見を活用し、また、新たな発毛化合物及び毛髪再生医療の可能性について探索することにより、ヒトでの“本当に毛が生える”を追求します。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・大正製薬株式会社 2021年12月8日発表
・大正製薬株式会社 公式サイト