ライフスタイル研究所と東海大学医学部付属病院検診センターは、「体重測定習慣と検査値との関係」の共同研究を行い、第19回日本健康教育学会学術大会で、体重の測定習慣に違いにより検査値(つまり健康度)が違うことを2010年6月19日(土)~6月20日(日)に研究発表いたします。
単なる「体重を計る」という習慣が毎日ある人とない人では、意識が違って来て、健康行動の起こり方が違い、検診結果も違ってくるという明快な結果を得ることができました。
この結果は、従来の保健指導で食事療法、運動療法のアプローチと違い、「体重測定習慣の促進」という、メタボ対策、保健指導ないし医療指導に新しい指導法のアプローチを示したものです。カロリーを用いた従来の指導法と違い、「測定習慣の獲得」の指導を行えば、減量して検査値が良好になるという、新しいアプローチです。
実際に、東海大学医学部付属病院検診センターでは、この知見から体重測定習慣をめざした特定保健指導動機付け支援(※1)プログラムを本年1月より実施し、その結果も今学会で発表します。
■第19回日本健康教育学会学術大会 概要
開催日 : 2010年6月19日(土)~6月20日(日)
場所 : 京都大学 百周年時計台記念館 京大会館
学会長 : 中原 俊隆(京都大学医学部公衆衛生学教授)
詳細URL: http://jph.pbh.med.kyoto-u.ac.jp/jshep.html
【6月19日(土)16:00~17:00】 京大会館
「朝の体重測定習慣を強調した動機付け支援プログラム」
~TOK-Smartのレッスン期(1ヶ月)の速報~
染宮 栄子(東海大学医学部付属病院健診センター)発表
体重測定習慣の獲得をめざし、「ひとくちトレーニング(※2)」という独特の食行動のトレーニングを組みあわせた、特定保健指導動機付け支援プログラム(TOK-Smartと名付けた)の1ヶ月間(4週間)の成果を発表します。6グループ25名が参加し、約80%の人が平均で2.1%、1.5Kgの減量、最大で5.2%、4.2Kgの減量に成功しました。実際に参加された方々の感想、「こんなに体重が変動するのに、驚きました。楽しく減量できました」等を報告します。
【6月20日(日)14:30~15:30】 国際交流ホールII
(1)「体重が気になるのに、体重を計っていない」
~体重を計る習慣があると、検査値が良好~
田邊 典代(東海大学医学部付属病院健診センター)発表
体重、体脂肪、メタボが気になっている人は約8割方いるのに、実際毎日計っているのは4人に1人、約25%。男性は15%と、自分の体重が気になっているのに計られていない現状を報告します。そして、毎日の測定習慣の有無によって、検査値が違うこと、毎日の測定習慣があると検査値が良好なことを報告します。
(2)「朝の体重測定習慣が、健康行動を呼び起こす」
~朝の測定習慣が刺激、一日の健康行動が起こりやすい~
太田 博之(ライフスタイル研究所)発表
毎日の測定習慣の有無で、健康行動の起こり方が違うことを発表します。そこで、毎日の測定習慣があると検査値が良好なので、一日1回の朝・夜(入浴時も含め)、1日2回の朝+夜とでは、検査値で違うのか検討したところ、検査値上ではさほど変わりはありませんでした。つまり、朝の測定習慣だけも毎日計ることが大切で、この「測定習慣の獲得」を支援する保健指導や医療指導に取り入れやすく、だれにでも受け入れやすい新しいアプローチであることを報告します。
(※1)特定保健指導動機付け支援:
特定保健指導は、厚労省が平成20年より、高齢者医療制度の改革に伴い、40歳から60歳までの被保険者、その家族に対して、特定保健検診を国民健康保険、協会けんぽ、各健保組合に法律で義務付けた。BMIと腹回り、検査値異常等を考慮して、動機付け支援、積極的支援に分けて、メタボリックシンドローム、その予備軍に保健指導をすることになった。しかしながら、動機付け支援では初回面接1回のみで、6ヵ月後に評価するスケジュールで、なかなか動機付けられない現状であり、その成果に多くの健保組合は苦慮している。
(※2)ひとくちトレーニング:
ひとくち食べる行動を10段階の動作の順番で食べる食べ方のトレーニング方法。小食になり、食事がおいしく、満足できる食べ方のトレーニング法。
■研究所 概要
研究所名: ライフスタイル研究所(Life Style Institute)
代表者 : 太田 博之
所在地 : 〒651-0087 神戸市中央区御幸通6-1-22 8F
活動内容: 健康コンサルタント業。行動療法を中心に、減量療法、
ダイエットの指導および口演活動をしている。
URL : http://www.wendy.jp/