慶應義塾大学医学部の堀内圭輔特任准教授、東門田(とうもんだ)誠一特任助教らの研究グループは、マウスを用いた実験で、破骨細胞の分化過程で小胞体ストレスが誘導されること、さらにこの小胞体ストレスが破骨細胞の分化を増強し、骨の破壊・吸収を促進させることを発見しました。
高齢化社会に伴い、骨の力学的強度が低下してしまう骨粗鬆症患者は近年上昇傾向であり、その患者数は、わが国で1300万人以上とも言われています。また近年、がん患者も従来に比較して長い生命予後が得られるようになり、これまであまり注目されなかったがんの骨転移が問題となってきています。骨粗鬆症やがんの骨転移では、骨を破壊・吸収する破骨細胞の活性が高まるため、骨がもろくなり、軽微な外傷で骨折を来たすことがあると考えられています。こうした患者の骨折が直接生命を脅かすことはありませんが、疼痛や寝たきりの原因となり、患者の生活の質を大幅に低下させます。
今後、小胞体ストレスを治療標的にすることにより、がんの増殖と、破骨細胞によって生じる骨の破壊・吸収を同時に抑制しうる治療薬の開発につながることが期待されます。
本研究成果は7月20日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Journal of Clinical Investigation」オンライン版で発表されます。
※詳細は下記URLをご参照ください。
◎慶應義塾大学 2015年7月17日発表
http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000z7bt.html
◎慶應義塾大学 公式サイト
http://www.keio.ac.jp/index-jp.html
◎リリース詳細版 PDF http://www.keio.ac.jp/ja/press_release/2015/osa3qr000000z7bt-att/20150721_.pdf