健康と美容のニュースなら健康美容EXPOニュース

カエルではじめて機能的な関節の再生に成功/京都大学

京都大学大学院理学研究科の堤 璃水 日本学術振興会特別研究員、阿形 清和 教授は、京都大学大学院医学研究科の山田 重人 教授との共同研究で、これまで関節を再生することができないとされてきたカエルにおいて、はじめて機能的な関節の再生を引き起こすことに成功しました。この発見により、哺乳類においても機能的な関節再生の実現に向けて新たな知見がもたらされました。本研究成果は、近日中に米国科学誌「Regeneration」誌で公開されました。

******************************************************

概要
我々哺乳類は、四肢を切断されると関節を再生させることはできません。一方、イモリをはじめとする有尾両生類は、四肢をどこで切断しても関節を含む機能的な構造を再生することができます。無尾両生類であるカエルは、切断されると関節や指の分岐などの構造を再生することはできないものの、切断面から一本の軟骨が再生することから、再生能力の高い有尾両生類と、低い哺乳類をつなぐ架け橋となると考えられます(図 1)。

そこで、再生能力の高い動物に再生の仕組みを学び、その知見を再生能力の低い動物に応用することで、”再生できない動物を再生できるようにする”ことを目指し研究をおこないました。これまでのイモリを用いた研究で、イモリの前肢を肘関節で切断すると、根元に残存した組織と、そこから再生した組織が相互作用することで、残存部の組織と再生部の組織の構造が機能的に調和して関節が作られることを見出していました。そこで、この知見をカエルに応用し、カエルの前肢を肘関節で切断したところ、根元に残った肘関節の片割れに合うような肘関節構造が再生しました。しかも再生した肘関節は自発的に動かすこともできる機能的なものであることもわかりました(図 2)。

これは、カエルにおける機能的な肘関節の再生に成功したはじめての研究です。今回の知見をもとに、さらに再生能力の低い哺乳類において関節の再生を実現する新たな可能性が見出され、再生医療への応用に向けて大きな一歩となると期待されます。

********************************************************
1. 背景
関節が機能的であるためには、関節をつくる二つの骨が相補的な形状で組み合わさっているだけでなく、関節をまたいで筋肉が腱を介して骨に挿入されていなければなりません。イモリは肢を切られると機能的な関節を再生することができますが、カエルではスパイクと呼ばれる分岐のない尖頭様の軟骨を再生するのみで、関節を再生することはできないとされてきました。
本研究グループの以前の研究では、イモリの肢を肘関節で切断すると、根元に残存した 組織と、切断部から再生してきた組織の相互作用することで、根元に残った関節の片割れに合うような形の関節構造が再生部に作られ、機能的な関節が再生することを報告しました(堤ら、Regeneration, 2015a)。この知見を受けて、カエルにおいても、残存部と再生部の組織の相互作用を意図的に起させることで、機能的な関節を再生することができるのではないかと考えて実験を行いました。

****************************************************
研究手法・成果
そこで、カエル前肢をイモリで行ったのと同様の方法によって肘関節で切断し、再生し てきた軟骨の形態を観察しました。すると、再生した軟骨の根元には、残存部の関節の片割れに相補的な関節の形が再生していることがわかりました。

20151222_r001.jpg

しかも、再生した軟骨には残存部の筋肉とその腱が挿入されており、再生した関節の曲 げ伸ばし運動を観察することもできました(図 2)。これは、カエルにおいて機能的な関節の 再生を実現したはじめての事例です。
さらに、組織切片を作製し、カエルの関節再生過程を細胞、分子レベルで詳細に観察し たところ、関節の再生は、発生期に関節形成とは異なる仕組みで起こっていることを見出 しました。

****************************************************

波及効果・今後の予定
これまでカエルの関節再生を目指した研究では、発生期の関節形成で活性化する因子を再生時に再活性化する発想のものが多かったのに対し、今回の研究では残存部と再生部の組織の相互作用を意図的に起させるという新しい発想で、はじめてカエルにおける機能的な関節再生を実現しました。この発想を哺乳類に応用することで、将来ヒトを含む哺乳類においても関節再生を実現することができるかもしれません。今後は、マウスを用いて、残存部と再生部の組織の相互作用によって機能的な関節を再生できるかどうかを検証していきたいと考えています。本研究成果は、以下の研究課題等によって得られました。

文部科学省科学研究費補助金「新学術領域」『3 次元構造を再構築する再生原理の解明』領域代表:阿形清和
文部科学省科学研究費補助金「特別研究員奨励費」 研究代表:堤 璃水書誌情報

[DOI] 10.1002/reg2.49
タイトル:Functional joint regeneration is achieved using reintegration mechanism inXenopus laevis
著者:Rio Tsutsumi, Shigehito Yamada, Kiyokazu Agata
雑誌:Regeneration

【詳細は下記URLをご参照ください】
京都大学 2015年12月22日発表
京都大学 ホームページ

 

2015年12月24日 11:40

関連記事