中部大学生命健康科学部の河原敏夫教授と渡邉卓巳客員研究員(有限会社バイオ研主席研究員)らは、食用の海藻であるアカモク(図1)の生理活性成分を研究し、殺ウイルス活性を新しく発見した。
使用したアカモクは中部国際空港護岸に繁殖した常滑産のアカモクで、2010 年より中部国際空港株式会社と漁業関係者らが地域資源化を目的として利用を推進してきた。同アカモク成分が配合された除菌液は、溶媒であるエタノールが揮発した後も殺ウイルス効果が長期間保持されることが特徴。
機能性食品の開発と販売を手掛けるヤヱガキ醗酵技研株式会社(兵庫県姫路市、長谷川雄介代表取締役社長)がこのほどアカモク成分入り除菌液を開発し、販売を開始する。
河原教授らは2020年から、アカモクのアルコール抽出物の殺ウイルス効果に期待して除菌剤としての実用化を目指して様々なウイルスを対象とした研究を行ってきた。その結果、アカモクエキス配合の除菌剤は新型コロナウイルスを含むエンベロープウイルスやノンエンベロープウイルスなどのウイルス、また、グラム陰性桿菌やグラム陽性球菌などの細菌を除去できることを確認した(図2)。ウイルス感染症に対する有用性については中部大学の先端研究センター紀要「総合工学」で公開した。
http://www.isc.chubu.ac.jp/istr/contents/thesis.php
ヤヱガキ醗酵技研株式会社は中部大学の研究成果を受けて除菌剤の開発に取り組んだ。エタノール水溶液にアカモク成分を配合した試作品を作り、2021 年 5 月~7 月の期間、研究開発に協力をいただいた中部国際空港で実証実験を実施した。
その結果に基づき、更なる製品改良を重ね、このたび、アカモク入りの除菌液「アカモクリーン」を発売することとなった。一般的にエタノール水溶液だけの除菌剤は、吹き付けた直後だけ効果を示す。これに対して新開発の除菌剤は、エタノールが揮発してもアカモク由来の固形分が残り、最長で1カ月は効果を示した。
【詳細は下記URLをご参照ください】
・中部大学 2022年11月25日【PDF】発表
・中部大学 公式サイト
・ヤヱガキ醗酵技研株式会社 公式サイト