~安全・安心でアフォーダブルな細胞性食品の社会実装に向けて~
※(一社)細胞農業研究機構による培養肉の呼称(出典:https://jaca.jp/2026/03/11173/)
味の素株式会社はこの度、細胞性食品向け細胞の培養プロセスにおいて、従来必要とされていた高価な血清成分を使わず、植物由来の成分「ヒノキチオール」を活用した成分をベースとする新技術を開発しました。同技術を細胞性食品メーカー等に提供することにより、同社は同食品の生産に不可欠な培地コストの大幅な削減に貢献します。同社は今後同技術の早期商業化を進め、細胞性食品を一層生活者に提供しやすくする事業環境の構築と整備のサポートを通じて、持続可能なアグリフードシステムの構築を目指します。
細胞性食品は、地球環境への負荷を減らし、食料問題の解決に貢献する次世代のタンパク源として世界的に注目されており、その市場は2032年には数兆円規模に達すると予測されています(出典:Stratistics Market Research Consultingレポート、2025年9月)。しかし、細胞性食品の製造に必要な培地コストが、普及に向けた大きな課題となっています。特に血清成分に含まれる細胞増殖を支持する因子であるトランスフェリンは製造が難しく、培地のコストを押し上げる大きな要因となっています。同社はこの課題に着目し、低分子天然成分のヒノキチオールを用いることで、トランスフェリンの代替に成功しました。
ヒノキチオールは、植物に含まれる天然成分で、鉄と結合して細胞内に鉄を届ける働きを持っています。この特性を生かすことで、従来トランスフェリンが持つ同機能を代替し、無血清培地で高い細胞増殖率を維持できることを確認しました(図1)。この研究成果は、2025年11月に開催されたInternational Scientific Conference on Cultured Meat (ISCCM)で発表しております。
同社が独自開発した同技術(特許出願中)により、高価なトランスフェリンを安価なヒノキチオールで代替することで、培地コストの大幅な削減が可能となります。高分子のトランスフェリンは製造毎に品質のばらつきが生じやすいのに対し、低分子のヒノキチオールは化学的に安定しており、無血清培地の品質の安定化が期待されます。また、天然由来のヒノキチオールは日本の既存食品添加物リストに収載されており、人体への安全性が確認されています。現在は試作品による検証段階を経ており、今後商業化に向け数年以内の市場投入を目指します。
















