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シイタケ菌糸体が、がん細胞の”バリア機能”を低下させることを確認

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林 豊)は、島根大学医学部(教授:原田守 免疫学)と共同でシイタケ菌糸体が、がん細胞の“バリア機能”を低下させることを確認しました。この研究成果について、2010年3月29日岡山市で開催された日本薬学会において発表いたしました。

近年、がん免疫治療分野の研究により、がん細胞を攻撃する免疫細胞(善玉免疫細胞)に対して、がん細胞が、「制御性T細胞*」と呼ばれる細胞でがん細胞をバリアし、免疫細胞からの攻撃をブロックしていることが明らかになってきております。

従来のがん免疫療法は、免疫細胞を活性化することによってがん細胞を抑制しようとするものですが、「制御性T細胞」の働きでがん細胞がバリアされているため、免疫療法の成果を得られない事例もあり、課題となっていました。がん患者の多くが、治療目的で食品成分を摂取したり、病院で免疫治療を行っている一方で、がん細胞は「制御性T細胞」を使って、免疫細胞の攻撃から身を守っているのです。

そのため、「制御性T細胞」の働きを抑えることが、がん治療に光明を与えることにつながると考えられ、多くの企業・研究機関が、その方法や医薬品の開発を進めています。また弊社では、「制御性T細胞」の働きを抑える方法が食品成分にもあるのではないかと考え、研究活動を続けてまいりました。

このたび弊社は、従来から研究を進めているシイタケ菌糸体について、「制御性T細胞」との関係を評価した結果、シイタケ菌糸体が、がん細胞を免疫細胞から守る「制御性T細胞」の働きを抑える作用があることを確認しました。

*【制御性T細胞とは】
・最近、がん細胞を免疫細胞から守っていることが明らかになった細胞
・Treg(ティーレグ)細胞とも呼ばれます。

gan2.jpg

■がん細胞への攻撃と抑制

(1)免疫攻撃細胞
がん細胞を攻撃する善玉免疫細胞

(2)制御性T細胞
がん細胞を免疫攻撃細胞からブロックする細胞

●結果

シイタケ菌糸体は、がん細胞を免疫細胞から守る制御性T細胞の働きを抑えることを確認

●考察

従来の免疫力を高めることだけでなく、がん細胞の防御力(=バリア機能)を下げる新しい機能をもった、食品成分の開発につながることが期待できる

■食品成分とがん細胞を免疫細胞から守っている制御性T細胞に関する研究結果

結論:シイタケ菌糸体はがんによって誘導される制御性T細胞を抑えた。

対象:がん細胞(メラノーマ・皮膚がん細胞)移植モデルマウス

方法:マウスの足裏にがん細胞を接種

投与:シイタケ菌糸体を細胞接種翌日から21日間、餌に1.0%または2.0%配合して与えた。

評価:21日目に解剖し、腫瘍重量、脾臓(ひぞう)*細胞中の制御性T細胞の割合を測定した。

*脾臓とは胃の下にある免疫機能や血液を貯蔵する機能を持つ臓器

結果:
(1)シイタケ菌糸体投与マウスは、腫瘍の増殖が抑えられた。
(2)シイタケ菌糸体投与マウスは、制御性T細胞の割合が減少して、がんの防御力(=バリア機能)低下が見られた。

gan.jpg

ctrl
シイタケ菌糸体を与えなかったマウス
P<0.01
*統計学上、危険率1%未満で、有意差あり
P<0.05
*統計学上、危険率5%未満で、有意差あり

 

 

2010年03月31日 10:25

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