サントリー健康科学研究所(所長:木曽良信、大阪府三島郡島本町)は、日本人女性の肌に対する機能性食品摂取の影響について、研究を進めてきました。その結果、フラバンジェノール※1含有食品の継続摂取が、肌の明るさの改善に効果的であるという知見を得ましたので、第10回光老化研究会(7月25日、大阪)で発表しました。
今回の発表演題と発表者は以下の通りです。
▼発表演題
健常女性における松樹皮抽出物加工食品の皮膚明度改善効果
▼発表者
サントリー健康科学研究所 龍口巌、泉玲子、飯野妙子
【研究の背景】
10代から50代の女性を対象に、肌の悩みについて調査したところ、多くの女性が、皮膚老化や光老化の症状である「しみ」や「くすみ」を感じていることが分かりました。
今回の研究では、フラバンジェノール含有食品の継続摂取による「しみ」「くすみ」に対する有効性を日本人女性で確認することを目的として、画像解析、機器測定、皮膚科専門医による視診と評価、被験者によるアンケート調査を行いました。
【試験方法】
日本人女性30名(31~59歳)を対象に、フラバンジェノール含有食品(フラバンジェノール 80mg、セラミド 2.4mg、火棘抽出物 600mg、ビタミンC 200mg含有)を1日1回、計12週間摂取することによる、皮膚への影響を調査しました。
【結果】
<画像解析>
頬部のしみ及び地肌(しみのない部位)では、フラバンジェノール含有食品摂取前と比べて、摂取12週目で、肌の明るさの指標となるL値の有意な増加が認められました(図1-1、1-2)。また、レプリカ※2解析画像より、頬部のきめの個数の有意な増加が確認されました(図2)。
<機器測定>
フラバンジェノール含有食品摂取前と比べて摂取12週目で、しみやそばかすのもととなるメラニンの量の有意な減少が認められました(図3)。なお、角層の水分量、肌弾力においては、明確な差が認められませんでした。
<皮膚科専門医による視診及び評価>
フラバンジェノール含有食品を12週間摂取した後の皮膚症状改善度について、皮膚科専門医である同志社大学スキンエイジング・アンド・フォトエイジングリサーチセンター市橋正光教授が診察及び写真により評価した結果、「肌の明るさ」「しみ」において、約70%の方に効果があると判定されました(図4)。
<被験者によるアンケート調査>
主観評価を定量化するvisual analogue scale (VAS)※3法を用いた評価により、「しみ」「くすみ」に関する指標に効果の体感が認められました。 (図5-1、5-2)。
【考察】
フラバンジェノール含有食品の継続摂取により、顔全体の明るさが増し、「しみ」「くすみ」に対して有効であることが、皮膚科専門医による視診及び評価、画像解析、被験者によるアンケート調査から期待されます。
※1 フラバンジェノールとは、フランス南西部・ランド地方に生育している海岸松樹皮から抽出した食品素材で、血流改善効果等が認められています。
※2 皮膚表面の形状の型をとり、肌の「きめ」等を解析する方法。
※3 被験者の主観的現象を定量化するために用いられる手法。長さ10cmの直線の一端を「全くなし」、他方を「経験し得る最大」と定めた場合に、各種自覚症状の程度を被験者自身が直線上にマークし、一端からの長さを測定して数値化する方法。
▼光老化研究会について
光老化研究会(Society for Photoaging Research)は、光老化(紫外線による肌の老化)の基礎と臨床に関連する研究発表、シンポジウムおよび学術講演などにより知識の向上を計ることを目的としています。