~乳酸菌がポリフェノールから健康機能性代謝物HMPAを産生する仕組みを解明~

健康食品や化粧品の原料となる天然由来成分を製造する丸善製薬株式会社は、岡山理科大学 生命科学部 三井亮司教授との共同研究により、乳酸菌 Weissella cibaria がフェルラ酸を健康機能性代謝物である3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸 (HMPA)へ変換する新規代謝経路を解明しました。同研究では、HMPA生成に必須となる新規酵素FarAおよびFarBを発見するとともに、フェルラ酸が乳酸菌の電子受容体として機能し、発酵代謝やレドックスバランスに関与することを明らかにしました。
研究背景
フェルラ酸は米ぬかや穀類外皮、野菜などに広く含まれる植物由来ポリフェノールです。一方、HMPAは腸内細菌によるポリフェノール代謝産物として知られており、近年では脂質代謝改善やエネルギー代謝調節への関与が報告されています。これまで、食事由来フェルラ酸が体内でHMPAへ変換されることは知られていたものの、その変換に関与する乳酸菌由来酵素や代謝機構については十分に解明されていませんでした。また、乳酸菌は発酵過程で細胞内の酸化還元(レドックス)バランスを維持する必要がありますが、フェルラ酸がその調節機構にどのように関与するかも不明でした。
研究成果ポイント
・乳酸菌 Weissella cibaria がフェルラ酸を高効率にHMPAへ変換することを確認しました
・HMPA生成に関与する2つの新規酵素FarA(フェルラ酸CoA転移酵素)およびFarB(フェルロイルCoA還元酵素)を同定しました
・フェルラ酸が乳酸菌の外部電子受容体として機能し、発酵代謝やレドックスバランス調節に寄与することを明らかにしました
今後の展望
近年、ポリフェノールの生理機能においては、摂取した化合物そのものだけでなく、腸内細菌によって産生される代謝物の重要性が注目されています。 今回発見されたHMPA生成経路は、乳酸菌によるポリフェノール代謝の分子メカニズムを初めて明確に示した成果であり、腸内環境改善や代謝健康に関する新たな研究・製品開発につながる可能性があります。
同研究により、Weissella cibaria がフェルラ酸を利用してHMPAを産生する新たな代謝システムを有することが明らかとなりました。
今後は、HMPA産生乳酸菌の機能性評価、ヒト試験による有効性確認、腸内細菌叢との相互作用解析、ポリフェノール素材との組み合わせによる製品開発を推進してまいります。
参照
Reduction of ferulic acid as an electron acceptor under anaerobic conditions by the heterofermentative lactic acid bacterium Weissella cibaria. Applied and Environmental Microbiology (2026).
同論文は以下URLより全文がご確認いただけます(英文)。
https://journals.asm.org/doi/10.1128/aem.00111-26













